そして僕は恋に墜ちた
僕は、ゆっくりと顔を上げ、大悪魔と目を合わせる。

『貴方の…仕業?』

『どうかな?』


大悪魔は肩を揺らして笑ったが、よっぽど弱っているのか、すぐに苦痛に顔を歪める。


『アリスは?何をしたんだよ。まさか、悪魔に…』

『ただの人間だよ。』

僕が話し終わるより早く、大悪魔は答えた。

『人間…?』

アリスは今までだって人間だったじゃないか。

『完璧な人間に。この先、何年もかけて老いて行く。やがて朽ち果てる人間だよ』


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