そして僕は恋に墜ちた
僕には、アリスを仲間にしろと命じたくせに、人間だって?

『貴方は…アリスを悪魔にしたかったんじゃないんですか?』

僕は、苛立ちを押さえながら大悪魔に聞いた。

その言葉に、大悪魔は、ふっと優しい顔を見せ、呟く様に話す。


『足りなかったのだよ…アリスを仲間にするだけの力が。私の持てる力を全て使うと、お前を元の姿に戻す事が出来なかった』

『え…僕?』

予想しなかった言葉に、僕は瞬きすら忘れて、大悪魔の次の言葉を待つ。

『まぁ。お前は放って置いても、徐々に成長はして行くさ。だが、悪魔の時間は果てしなく長い。

お前が元の姿に成長するまで何百年かかるか…』

大悪魔は、そこまで話すと深く溜め息をつき、ゆらりと立ち上がった。


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