そして僕は恋に墜ちた
「あ…先生?おはようございます」


ドアの開く音に、アリスは目を覚ましたのか、病室から声が聞こえて来た。


アリスの言葉に空を見上げると、空の紺色が薄くなって来ているのに気付く。

僕は一体、何時間アリスを眺めていたのだろう。

ちょっとしたストーカーになった気分だ。



「アリスくん…今日は顔色がとても良いね」

「はい。今日はなんだか、とても体が軽いんです。」


かすれた声の医師と、アリスの会話で、何故か大悪魔の言った『完璧な人間』という言葉を僕は思い出した。


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