そして僕は恋に墜ちた
いいかげん独り立ちしなくては。

元来、悪魔なんて孤独なものなのだ。

大悪魔が生きていた時ですら、僕には孤独が付きまとい、だからこそアリスを仲間にしようとした。


人間の頃だって独りだった。

寂しいのには慣れている。


そう思って、ベッドから起き上がると、頭がくらくらした。

体が限界なのだ。

何日も絶食状態なのだから当たり前か。


僕は、くるくる回る世界の中で、何とか扉の前へと辿り着き、体を支える様にドアノブを掴んだ。

今のこんな姿の僕を見たら、自分を犠牲にした大悪魔はどう思うだろう。






『…誰が犠牲になったのだ?』


背後で聞き覚えのある声がして、一瞬、時が止まった。


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