そして僕は恋に墜ちた
『じゃ、ここから私の気配を探っていたと感じたのは、気のせいだったか…』

『え?』

『一日中。この部屋から出ずに。ひたすら私の存在を探っていたと感じたのは…気のせいだったのだな』

そういって大悪魔はこちらの方に身を乗り出す様な格好になると、これ以上楽しい事は無い、という表情で僕の反応を待った。


大悪魔の言葉に、僕は凄い勢いで顔が熱くなる。

おかげで、気を抜いたら泣いてしまいそうだった、胸につかえる様な、もやもやした感情が一気に吹き飛んだ。


大悪魔は知っていたんだ!!

僕がこの部屋に籠って、ひたすら大悪魔の気配を探していた事を。


ここ数日で気付いた、大悪魔に対しての気持ちは、簡単に踏み付けられた気がした。

いや、それは僕が勝手に思っているだけで、大悪魔からしてみれば僕は今までと変わらない

単に、大悪魔の手の上で足掻いているだけの存在なんだろうけど…


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