そして僕は恋に墜ちた
「そっか…僕を殺しに来たんだね」

『違うよ。手助けに』


…手助け。

自殺を迷う少年の背中を押すのが、僕の仕事。

迷っている心を突っ突いて、自殺に追いやるのが…僕の仕事なんだ。


「ふぅ…ん」

少年は、この世への絶望と、死への恐怖心から、小刻みに震える両手を、ぎゅっと強く握り締めている。

『僕が、楽にしてあげるよ?』

そう言って、僕は少年に一歩近付いた。



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