そして僕は恋に墜ちた
「違う…って?」

少年は、すがる様な目で僕を見る。

『生まれ変わったら幸せになれるなんて、誰が言ったの?』

温もりのあった少年の指先が、だんだんと冷たくなっていくのを感じながら、説明の出来ない感覚に僕は襲われていた。

『人間はね、自殺するともう一度同じ人生が待っているんだよ』

何だか、僕の声じゃないみたいだ。僕の中の誰かが勝手に話している様な、変な感じがする。

「…え?」

『つまり、今迄の人生が、来世でまた一から始まるって事さ。同じ様な人生の繰り返しだよね』

「また、始めから?」

『そう。だって君、人生リタイアするんだもん』


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