そして僕は恋に墜ちた
なんだろう。
恐怖に歪む少年の顔を見ても、前の様に楽しくない。


僕の話を聞いて少年は思い直したのか、繋いだ手を振り払おうと、必死になっていた。

『ごめんね。僕は悪魔だから、この手を放すわけにはいかないんだよ』

おかしな感覚に襲われながらも、悪魔としての仕事はこなそうと、僕は振り払おうとしている少年の手を、ぐいっと引っ張った。

バランスを崩し、少年は前方へと倒れ込む。

地上へと落ちて行く少年が、僕の目には、まるでこま送りの様に見えた。


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