そして僕は恋に墜ちた
まるで、空気にでもなった様な気分で風に身を任せていると、体中が急にちくちくとして、僕は重い瞼をゆっくりと開ける。

辺りは白い霧に包まれ、まるで、今の僕の置かれている状況の様に、少し先は何も見えない。

どうやら僕は、雲に包まれている様だ。

意味も無く、両手を目の前に持って来ると、あまりの寒さに小刻みに震えているのが分かった。

僕はまた、目を閉じる。

普段なら、我慢出来ない程の、体を刺す様な痛みも、今の僕には心地よく感じた。


『どうせ僕は

死なないんだから』


寒さに、また意識を取られそうになりながら、僕は無意識に呟いていた。



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