そして僕は恋に墜ちた
さっきまで明るく見えた病室は、今は全て、影を落としている様に見える。

薄暗い病室。
吹き込む冷たい風。


いや、これが本当なんだろう。

明るく見えたのは、錯覚だ。
勝手に浮かれていた僕が見た錯覚。



『思い出したって…何を?』

やっと声になった言葉は掠れている。

僕は、アリスを見つめたが、アリスは相変わらず笑顔だった。

変わらない笑顔なのに、先程感じた様な暖かさは無く、なんだか悲しく見える。

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