そして僕は恋に墜ちた
『…え?』

思いがけない少女の言葉に、今度は僕が口を開ける。

「ねぇ。天使って、みんな美形なわけ?」

そんな僕の様子を気にする事も無く、少女は目を輝かせていた。

(…天使?)

少女は僕を、天使だと思っているのか。

確かに、僕の羽根は白い。

僕が人間だった頃は、悪魔の羽根は黒いモノだと思っていた。

勿論、見た事などは無かったが…。

羽根が白いからと言って、天使だとは限らないんだ。

僕は、にやりと口の端だけで笑うと、なるべく冷たい声で少女に話し掛けた。

『僕は、悪魔だよ。残念ながらね』

少女の心に、恐怖心を植え付ける為に。


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