そして僕は恋に墜ちた
『あのさ、聞いてもいい?』

「…うん」

アリスは、僕から目を逸らしたまま頷いた。

『いつから人の心が読めるの?』


そんな事を聞いて、僕はどうしようというのだろう。

ただ、小さな疑問でも、アリスの事はちゃんと知っておきたかった。

どうやら僕は、自分の未来に、当たり前にアリスを描きすぎて、どうにもならなくなってしまったみたいだ。

悪魔の自覚が足りないと、笑われるかも知れないけど。


アリスは小さく溜め息をつくと、消えそうな声で呟いた。



「シロと最後に…屋上で会った日から」


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