そして僕は恋に墜ちた
「シロも、元気でね」


いつもと変わらない声で話したつもりだったのに、僕がもう来ないつもりだというのを、アリスには分かった様だった。

心が読めるとか、そういうのでは無く、何かを感じ取ったのだろう。


『うん』

涙が出そうになるのを堪え、なんとか返事をする。


映画で言ったら、今が一番盛り上がるシーンだろうな。

そんな、どうでもいい事を考えている僕の背中に、アリスから予想もしない言葉が投げられた。



「それと…あの人にも、よろしく伝えて?」


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