そして僕は恋に墜ちた
13.
―僕は今どこにいるのだろう…
何も見えない。
耳の奥で、何かが、わんわんと響いている気がする。
音の無い音。
ひょっとしたら、また雲の中を漂っているのかも知れないな。
このまま意識は飛ばされて、そして気付くと僕のあの部屋に横たわって月でも眺めているのかも…
「…シロ?」
静まり返った湖に、朝露が一滴落ちた様に
アリスの声が僕の中に響いた。