そして僕は恋に墜ちた
『その銀髪が、気になるの?』


だが、思いとは反して、勝手に言葉が口から飛び出す。

「うん…ちょっとね」

窓に掛けていた足を降ろし、僕はアリスの方へと早足で戻って行く。

『どういう関係?』

「どういう…って?」

アリスの前に立つと、僕はアリスの肩を掴んだ。

『銀髪の事が好きなの?』

指に力がこもる。

「シロ、痛い…」

『聞いてるんだよ!!好きなの?あいつの事が?アリスは大悪魔の事が好きなの!?』


なんだかもう、ぐちゃぐちゃだ。

僕の作り上げようとしていた、クールでカッコいい悪魔とは、似ても似つかない。

きっと、アリスから大悪魔の事を聞いた瞬間に、頭の中はショートして、ドロドロでぐちゃぐちゃな黒い塊が波の様に押し寄せて、僕は僕じゃ無くなったんだ。

ただ、頭の片隅で、今頃こんな僕を見て、大悪魔は腹を抱えて笑い転げているに違いないと思った。

大悪魔が、アリスを仲間にしようと僕に命じた理由が分かった気がする。

所詮、僕はただのオモチャだったんだ。

大悪魔がそれを否定しても、事実は変わらない。


笑いたければ笑えばいいよ。




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