そして僕は恋に墜ちた
僕の、突然の行動に、アリスは動揺を見せた。
 
いくら部屋が暗くても、これだけ近付けば、嫌でも僕の目が見えるだろう。
 
「シロ?なんで…泣いてるの?」

だが、アリスが動揺していたのは、僕の心を読んだからではなかった。

アリスに掴みより、目を見開き涙を流す僕を見て、アリスは動揺していたのだ。



しばらく、そのまま沈黙が続いた。

月は高く輝き、病室にくっきりと、僕たちの影を落とす。

窓からの風は、一層冷たさを増し、指先の感覚が少しずつ無くなって行く。

段々と冷静になるにつれて、僕は、自分のとった行動が恥ずかしくなった。


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