そして僕は恋に墜ちた
僕は、アリスから手を放し、数歩後ろに下がりながら、顔を隠すように袖で涙を拭いた。

もう涙は出ていないけれど、アリスの視線から避けるように、腕で顔を覆ったまま俯く。


「シロ、ごめんね?」

『何が?』

俯いたまま言葉を返した僕の声は、何だか鼻声だ。

「なんか…泣かせちゃったみたいだから」

『ぶはっ…!!』


アリスの言葉に、思わず僕は噴き出す。

突然泣き出した僕に、意味も分からず謝るアリスの心境を考えたら、何だかおかしかったし

何より、アリスの前で取り乱した僕を思い出して笑うしかなかった。

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