そして僕は恋に墜ちた
僕の異様な行動に、アリスは恐怖心を抱いたのか、若しくは危険を感じたのだろう。

薄暗い中で、アリスが後ろに下がって行くのが見える。

僕は、左手をそのままに、アリスの方へと一歩踏み出した。


床に落ちた血を踏んだのか、靴裏が少し引っ掛かる感じがする。

まるで、僕がアリスの方へと行かない様にと、床が小さな抵抗をしている様だ。





壁際に追いやられ、行き場を無くしたアリスに、僕は目一杯近付くと

そのまま動きを止めず、アリスの右腕を爪で浅く切り付けた。


< 87 / 143 >

この作品をシェア

pagetop