そして僕は恋に墜ちた
だが、僕の精一杯の微笑みにも、アリスは笑う事はなかった。



アリスは、何がそんなに悲しいのだろう。

僕が今、動けないでいるのは、単に悪魔としての力を使い果たしたからだ。

だけど、このまま命まで落とす事は無い。
 
少し休んで動ける様になったら、命を繋げるだけの僅かな『仕事』をしながら、ふたりで生きて行けるのに。

僕たちには
幸せな未来が待っているのに…







アリスを見つめる僕の目の端で、大きな人影がゆらりと揺れるのが見えた気がした。




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