そして僕は恋に墜ちた
目の端で捉えた人影を見ようと、瞼が閉じようとするのをなんとか堪え

少しだけ首を動かし、人影が見えた場所に目を凝らす。

ずれていた視点がだんだん合って来ると、暗闇に何者かが立っているのが分かった。


人影は、ゆっくりとアリスに近付き、アリスの髪に細く綺麗な手で触れる。

だが、アリスは髪に触れられても、反応しようとしない。


気付いていないのか?

いや、そんな筈は無い。


アリスは、気付いていないのでは無く、この部屋にもう一人いる事を知っているのだ。




『アリス、久し振りだな』


その人影が誰なのかも…

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