あなたに恋してる
言えない想い




「いってきます」


いつものように学校に行くためにお母さんにそう言う。


お父さんは仕事で先に家を出ていて、今いるのはあたしとお母さんだけ。



「いってらっしゃい。気をつけるのよ?」

玄関まで見送りに来たお母さんがそう言ってるのを聞きながら靴を履く。


靴を履くとくるっと振り返ってお母さんを見た。


「大丈夫!」

にこっと笑ってそう言うと



「そうね。愁(しゅう)くんも一緒だもんね」


ふふって微笑みながらお母さんが言った。


その言葉に赤くなる。



愁くんとは、あたしの家の隣に住む゛幼なじみ゛の男の子のこと。


そしてあたしの―――




「はやく行かないと愁くん待ってるかもよ?」


その言葉に我にかえって再び「いってきます」と言うと、玄関を開けて家を出た。


もう…お母さんが愁くんのこと言うから!





「香菜(かな)おはよ!」




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