先生と教官室







そんな風にポジティブに考えながら、ちらっと先生の方に視線を向けてみる。






「……え」






すると、驚く事に先生と目があってしまった。






絶対に自分がいることは気づかれていないと思っていただけに、かなりの動揺と鼓動が私の身体を駆け巡っていく。






やばいやばいやばい。






どうしたらいいかわから………







「-----っっ」







解決策が見つからずとりあえず目を反らそうとした瞬間、先生が私に向けておはようと口を動かしてきた。






声を出ている訳じゃない。






ただ、口を動かしただけ。






それは本当に私に向けられて言われたのかも決してさだかじゃない。







でも、先生のおはようって言った後の笑顔が可愛すぎて、胸がどんどん締め付けられていく。








何それ、反則でしょ。






レッドカードで一発退場ものだよ、先生。







今の笑顔で、さっきまでの憂鬱な気持ちが嘘のように消えていってしまった。









そして、自分でも驚く事に、いつのまにか先生に笑い返している自分がいた。








先生の真似をして、私も声を出さずに「おはようございます」と口だけを動かしてみた。























< 16 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop