先生と教官室







2時間くらいして点滴は終わったが…伊緒が全く起きる気配がない。






むしろ眠りが深くなっている気がする。






とりあえず親御さんに連絡をとろうと伊緒の携帯から電話をしてみる。






…が、どちらも出ない。






おいおい、どっちか出ろよ…。






娘からの電話だぞ?






仕方が無く携帯を戻そうと鞄を開けると、家の鍵がでてきた。






確か…俺の家に泊まった時に親御さんの帰りは遅いとか言ってたよな。






このまま此処に居る訳にもいかないし。






…いたしかたない、行くか。






2人分の荷物を肩へとかけ、伊緒をベッドから抱き上げる。






「……………。」







相変わらず軽いな、コイツ。







病室を出て会計を済ませ、ゆっくりと出口へと向かう。






そしてそのままタクシーに乗り込み、伊緒の家の住所が書かれた紙を運転手に渡す。






「解りました、車出しますね。」






「お願いします。」






そうして、タクシーは伊緒の家へと走りだした。







その瞬間、コツンと肩に何かがあたった。







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