先生と教官室
―――――――――――…………
「―――――――っっ!?」
え、ちょ、待て待て、何いまの……。
いやいや反則でしょ。
てっきり気づかずに無視されて終わりだと思ってたんだけど。
でも今、俺におはようございますって言ったよな?
しかも部活ではあんまり見せない笑顔で………。
うわー…反則だよ片瀬。
これはレッドカードもんじゃないか?
危うく全員の前で伊緒って呼んでしまいそうだった。
「はぁ―――……」
俺、どうなってんの?
この前から片瀬の事考えすぎじゃね?
なんか今までの教え子とは何か違うっていうか……。
「先生っおはよー。」
「あっ、あぁおはよう。」
びっくりしたー…片瀬の事を考えすぎて土間で挨拶している事をすっかり忘れていた。
ん?こいつは確か、この間ピアスの指導した3年の女子生徒だな。
こいつから挨拶とは珍しい事があるもんだ。
「ねー先生、この子に先生からも言ってやって欲しい事があるんだけどー…。」
「ちょ、やめてよっ」
「いいじゃんっ先生なら口固いし、恋愛の経験豊富そうだしっ」
いやいやいや、勝手な想像するんじゃない。
なんだ経験豊富って。
俺のイメージどうなってんだよ。
「あのね、先生。この子ある人の事絶対好きなくせに、全然自覚してないのっ!!ずっとその人の事考えたり、いつの間にか目で追ったりするって十分その人に恋してると思わない!?」
………え。