先生と教官室
「俺と秋山先生は昔からの知り合いなんだ。」
先生が下を向いて話し出す。
「秋山先生は、俺の友達の彼女だったんだ。良いだろって、そいつに自慢されたのが初めて会った時。俺達は大学3年生だった。」
秋山先生と、そんな昔からの知り合いだったんだ…。
「それから何回か3人で遊びに行ってる内に大学内でもつるむようになって、普通に楽しい生活を送ってたんだ。」
時折笑顔を見せる先生が痛々しい。
きっと、楽しい生活の時の記憶は、先生にとって大切なものなんだろうな…。
「でも……知り合って半年位たった時……」
先生の声が少しだけ小さくなった。
「そんな楽しい生活は……俺のせいで一気に崩れてしまった…。」
私はただ頷くだけ。
うんうんって。
「ある日、秋山先生から電話がかかってきたんだ。ついて来て欲しい所があるって…。」
「…うん。」
「案内された所は産婦人科で、力を貸して欲しいと言われた。」
産婦人科…?
「俺の友達じゃない人の子供ができてしまったから卸したい。…父親のふりをしてくれ、と。」
は?
なにそれ、浮気したって事?
先生の友達を裏切ったの…?
「初めは俺もふざけるなと思った。それに、せっかく宿った命を捨ててほしくなかった…。」
…先生らしいね。
「だけど……。」