先生と教官室
「その瞬間、友達の悲しむ顔が頭に浮かんだ。」
「悲しむ…顔?」
「そう、自分の子じゃないと解った時…あいつは悲しむだろうなって。」
「え、じゃぁ……」
私の問いに、先生が小さく頷く。
「伊緒が想像している通りだよ。…俺は、彼女の言う通りにしてしまったんだ。」
先生が小さく震えてるように見えた。
悔しがっているような、悲しんでいるような…。
「でもな、本当は違ったんだ。」
「違った…?何が、違ったんですか?」
「何もかも、最初から違ったんだよ。秋山先生は俺に嘘の話しをしていて、本当の事を全て終わってから聞かされたんだ。……本当の事っていうのはさ……秋山先生が卸した子供が、本当は友達との間にできた子だったって事。」
とも、だち、の子って…それは…つまり……。
「友達って…先生の友達の事です、か?」
「…あぁ、そうだよ。」
「―――――――っっ」
そんな事って……。
「きっと罰が当たったんだろうな。悲しむ顔が見たくないからって、友達を裏切るような事をしてしまったから。」
はははって笑う先生が今までにないぐらい悲しくみえる。
「やめて下さい。そんな、無理して笑わないで下さい…。」
「……はは、こんな事笑ってでないと言えないだろ?」
そうかも、しれないけど……別に泣いてもいいんだよ?
私誰にも言わないし、忘れてほしいなら忘れるし…。
なのに、何でそんな風に茶化すの?