先生と教官室
「よしよし、もう大丈夫だからな。雷なんて怖くないよ。」
「……はい。」
いつもなら子供扱いだって思うけど、今日は素直に嬉しい…。
暖かくて、気持ちいい。
「仕方がないから、今日は泊まってってやる。…でも、本当に今日だけだぞ?」
「…はい、有難うございます。」
そう言いながら、先生はずっと私の頭を撫でてくれた。
ずっとこうしてられればいいのに。
そうしたらあんな風に寂しくなったりしないし、体調が悪くなる事もなくなるのに。
今日は良い、隣に先生が居てくれるから。
でも、明日からは?
私はまたこの家で、この静かな空間で、ひとりぼっちになるの?
きっと、今日こんなに幸せな夜を過ごしたら、明日からは今まで以上にもっと寂しくなる日々を送る事になるんだろうな…。
「なぁ、伊緒。」
「……何ですか?」
考え事をしている私に気がついたのか、先生が少しだけ抱きしめる力を強めた。