先生と教官室






さっきよりも鮮明に先生の鼓動の音が聞こえてくる。






この音、落ち着くから好きなんだ…。






「今度、今日みたいに誰かと一緒に居たくなったらさ…」






………なったら?






「今度は俺の家においで。一緒に居てやるから。」






「―――――っっ」






「解ったか?」






「……………っっ」






先生の言葉にビックリして、声が出ない。





嬉しくて、ドキドキして、ただただ顔を縦に振る事しかできなかった。






「ははは、頷きすぎだろ。」






「だ、って……」






声にならないんだもん。






先生の言葉がどれだけ私を嬉しくさせているか解ってないでしょ?







「誰にも言うなよ?こんな事してやるの伊緒だけだからな?」






「………………は、はい。」







「よし、良い子だな。」







そう言って、先生は私の頭をぐしゃぐしゃにする。







ねぇ、先生。






私だけって言うけど、何でそんなにも優しくしてくれるの?






私が考えてしまう事は間違っていない?






無駄だとは解っていても、少しくらい期待してもいいの?











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