先生と教官室
「ふっ…ははっ、っごめ、はははっ!!」
なんとまぁ、失礼な男だ。
人の顔を見て笑うなんて…。
「人の顔見て笑うってどうなんですか!!?」
さっきまでのぎこちなさが嘘のように、顔を真っ赤にしながら進藤先生に声を上げる。
「っだって、顔異常にひきつってるし…ふはっ!!」
進藤先生、あの笑顔見てたの!!?
「――っ!!ひきつってないわ、このムッツリ教師!!」
「はぁ!?俺別にムッツリじゃないから。」
「っっあ――……いや、その……。」
やばいやばい、しまったぞ。
いつも甲田先生に対して思っている事を、間違えて進藤先生に言ってしまった…。
恥ずかしさのあまり興奮してしまったな。
「ふーん、俺ムッツリなんだ?」
「!!!!」
まただ。
今のニヤってした顔、甲田先生に似てる。
甲田先生に似てるからかな?
この時だけ少し進藤先生にドキドキしている自分がいる。
「あ…の、って…え?」
気がつくと、真っ赤になっている私の耳元に進藤先生の顔が近づいていた。
「それとも、ムッツリなのは甲田先生?」
「!!!!!!」
「はははっ、冗談だよ。片瀬さん。」
私をからかうだけからかって、進藤先生は教官室の奥へと入っていった。
進藤先生って何で私が思っている事全部解るんだろう。
…とにかく、進藤先生は要注意だ。
「…ね、ねぇ伊緒さん?」