先生と教官室
進藤先生の姿を見送ってから、携帯に手を伸ばす。
『そんなに気になるなら、片瀬さんに電話してみたらどうです?』
って、進藤先生は言っていたけど…。
「あいつ、出るのかな…。」
一応明日もテストがあるわけだし。
それに、もし避けられてしまったら、俺立ち直れない気がする……。
「はぁ………。」
伊緒を好きになってから、すっかり弱気になってしまった。
この変化は良いものなんだろうか。
いや、悪いもののような気がするな。
「よしっっ!!!」
意を決して、伊緒の携帯に通話ボタンを押してみる。
でもまさか、あんな伊緒が電話に出るなんて思わなくて。
俺はただただ驚いた。
何で……。
何でお前はまた泣いているんだ?