先生と教官室
「はぁ?俺がエスパーなわけないだろ?どう見ても普通の人間だよ。」
いや、そんな事は知ってるけど…。
そういう事じゃないんだよ先生。
「じゃぁ、何でいつもいつも私の心読んじゃうんですか?」
「…ん――…聞きたい?」
「え、はい。」
そんなの、理由があるなら聞きたいに決まってるじゃんか。
「じゃぁさ、俺のお願い聞いてくれるか?」
「お願い?」
先生の抱きしめる手の力が、さっきよりも強くなった気がした。
「…抱きしめかえしてくれたら言っても良いよ。」
「へ…?」
だらんっと力が入ってなかった手が、先生の言葉にピクリと反応する。
「嫌ならいいんだけどさ。」
「嫌ってわけじゃ…。」
ドクッドクッドクッ
え?…あれ、なんか。
この心臓の音って先生のだよね?
「もしかして、照れてます?」
心臓の音めちゃくちゃ速いんですが。
「…んなわけ…ないだろ。」
ドクッドクッドクッドクッ
いやいやいや、んなわけあるじゃないですか。