先生と教官室
「か、会社に行ったんじゃなかったの?」
お母さんの顔をみずに、キッチンで一人ココアを作りながら話しを振る。
今はどうしてもお母さんの顔を見る事ができない。
また何か言われるんじゃないかと思うとすごく怖い。
…でも、ココアの匂いは私に勇気をくれる気がするんだ。
さっき先生がくれた飲み物だからなのかな?
もしそうだとしたら、先生はやっぱりすごいね…。
「ええ、会社に行ったわよ。」
コーヒーを片手に、お母さんも話し出す。
「…そっか、早かったんだね。」
お母さんと言い合いになってから、まだ数時間しか経っていない。
こんな短時間で仕事を終え家に帰ってくるなんて考えられない。
「伊緒、こっちにいらっしゃい。」
「……うん。」
できたばかりのココアをもち、お母さんの前のソファーにゆっくり座った。