先生と教官室







向いあわせで座り、数分間二人の間に沈黙の時間が流れる。







そんな中、重ぐるしい空気を先に破ったのはお母さんだった。







「…お母さんね、さっき仕事辞めてきたわ。」







「……え?」







今、なんて……?







「ふふっ驚いちゃった?」







「え…そりゃ…驚く、よ。」






仕事を辞めた…?








あんなに大好きで、休むのを忘れるぐらい頑張っていた仕事を…?







「なんで…なんで急に辞めちゃったの?もしかして、私のせい?私が、私がお母さんの仕事に口だしたからっ…。」








「ちょっと、何言ってんのよ。そんなわけないでしょ?お母さんが人に意見に左右されるような奴だと思ってるの?」








「でも…っだって!!」








家に帰ってこない親が憎かった、一人で寂しかった。









でも……心のどこかで仕事をしている格好良い二人が自慢でもあった。











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