先生と教官室
「安心しなさい、伊緒のせいじゃないわ。お母さん、少し疲れちゃったのよ。」
「疲れた…?」
「そう。きっと今まで頑張りすぎたのね。だから、もう休んでもいいかなって…。」
そう言ったお母さんの顔がどこか悲しそうで、見てるのが辛かった。
「無理、してるんじゃないの…?」
「ぜんっぜんっ!!むしろ今はスッキリして良い気分よ!!」
お母さんは心配する私に、さっきの悲しそうな顔が嘘のように笑ってみせた。
「そろそろ私も歳だしねー、世代交代って奴よ。後1ヶ月は引き継ぎで会社行かないといけないけど、それ以降はもう関わらないわ。きっと会社は私のありがたみを知るでしょうね。」
「ふふふっ、なんかお母さんらしいね。」
「ふっふっふっ、そうでしょ?」
今、私お母さんと話してるんだよね…?
もしかしたら初めてなのかな。
こんなに笑いながら二人で話したの。
皆は毎日こんな風に当たり前に話してるのかな?
私の家族が変だったのかな?