先生と教官室







「いーおっ!!テストどうだった!?」







「恵那ー!!やばいよやばいっ、超よかった!!」






昼休み、初めて良い点数が取れた答案達を見せると、恵那の目がとびきり大きくなった。






「うわぁぁぁっ、良かったね!!すごいじゃん!!」






「うん、自分でもびっくりなんだよ!!」







「ふふ、これで甲田先生に好きって言ってもらえるじゃんっ。」







最後の方は私にしか聞こえないような声で話す恵那が、今までにないぐらいの笑顔を私にむける。







私の事でこんなにも喜んでくれている姿をみると、何故だか私の嬉しさも倍増してくる。







「好きかぁ……そうだと良いけどね…。」






嬉しい気持ちの中にひそんでいる、不安な気持ち。






あれだけ色々なことをしてもらっても、先生からの気持ちが良いものだなんて自信が少しももてない。







今の私の期待としては、先生の気持ちが少しでも私にあるといいな…くらいなんだ。







「ちょっと、なに今更弱気になってんの?絶対大丈夫だって!!」







「あはは………うん、そうだよね。」







色々考えるとキリがない。







だから、気持ちを聞く前から弱気になるのはやめようと何度も思っている。






思っているけど…うーん…中々それが出来ないんだよなぁ…。








まだ何も始まったわけじゃないし、ましてや終わったわけでもない。








むしろ、私はこれからスタートの位置に立つ。







何とかして、気持ちを強くもたなきゃ……。










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