先生と教官室
「ねぇねぇ…どうしても今なの?」
「はぁ?当たり前じゃん。…てか、教官室の前まできといて今更戻るの?」
そりゃ、そう言われればそうだけどさ…。
「わ、私にだって心の準備とか緊張とかその他色々と……」
「あーもうっ、じれったいわっ!!」
「え…ちょ、えなっっ!?」
コンコンコンッ
うぎゃ―――っっ!!!!
「何勝手にノックしてんのぉ!?」
「失礼しまーす!!」
「ちょっ、恵那!!」
「はい?どうかしました?」
恵那が教官室に入って初めに聞こえたのは、猫をかぶった進藤先生の声だった。
「一年の横井です。甲田先生はお見えですか?」
恵那…声がうきうきしてますよ…?
ちょっとっていうか、大分楽しんでますよね?
「あぁ、いらっしゃいますよ。何か用事?」
「はい。あ、でも私ではなくてこの子がなんですけど。」
そう言って恵那が私を教官室に引っ張り入れる。
「あぁ…そういう事ですか…。」
私の顔を見て、ニヤリと笑った進藤先生が何だか少し怖かった。