先生と教官室
「伊緒、行ってらっしゃい!!」
今は恵那の笑顔が嬉しくも憎たらしくも感じる。
こいつ、人の悩みを絶対楽しんでるだろ。
「行ってらっしゃい、片瀬さん。」
この男の笑顔は間違いなく憎い。
楽しんでるどころじゃなくて、からかって面白がってるもんな、この男は。
「あ、そういえば進藤先生…さっき職員室で先生の事を探していらっしゃる先生がいましたよ。」
「え…そうなんですか?」
「はい、それはもう必死に探してました!!」
って、嘘じゃボケ――――ッッ!!!
人の大変な状況を面白がった仕返しですーだっ!!
「そうですか、それは行かなければいけませんね。では横井さん、途中まで一緒に行きましょうか。」
「え?」
「はい、行きましょうか。」
あれれれれれれ?
何か予想外の展開に…。
恵那さん、私のこと待っててくれないの?
先に行っちゃうの?
え、私取り残される感じ?
進藤先生と恵那が教官室を出る直前に、進藤先生が私の方をみて笑った。
「片瀬さん。」
「……なんですか。」