先生と教官室






「先生、起きてますか?」





ソファーに寝転がっている先生の肩に、そっと触れてみる。





「ん……。」





すると、小さく反応をしただけで先生の目が開くことはなかった。






「起きない…か……。」





確か前も全然起きなくて苦労したことがあったっけ。





あの時、私は風邪を引いて弱っていて、初めて先生に涙を見せてしまったんだっけ。





あと先生の家に泊まったりキスしたり…今思えば、あれから先生との距離が近くなったのかな…。






「先生、もう昼休み終わっちゃいますよ?」






「ス――…ス――……」






こんなに人が必死になってるのに起きないなんて…流石だよ先生。







「…ふん、先生のばーか。」






いいもん、どうせ起きないなら昼休みが終わるまで先生の寝顔見てるから。






そんでもって寝ている先生に話しかけるもん。






きっとその方がいつもより何倍も素直になれるし……。





「ねぇ先生、聞きたい事が沢山あるんです。」





寝ている先生の髪に触りながら、ゆっくりと話し始める。





「知佳と教官室に行った日、何で私を無視したんですか?」





反応のない先生に、これでもかってぐらい近づいてみる。





「それに、この前教えてくれるって言っていた、何で私が考えてる事をすんなり当てちゃうのかも聞きたいです…。」





先生の胸元に耳を近づけると、先生の鼓動がハッキリと聞こえてくる。






「お母さんの事も、ちゃんと報告したい…。」






やっと分かり合えたお母さんと私。





向き合う力をくれたのは先生なんだよ?







「…最後に、一番聞きたい事があるんです。私の事……本当はどう思ってるんですか?」








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