先生と教官室
「先生、そこのにんじん取って下さい。」
「はいよ。」
「卵はいつもどれ買ってます?」
「えーっと……忘れた。こだわりないからどれでもいいぞ。」
「じゃぁ一番安いので。」
カゴにはオムライスの材料が次々と入っていき、少しずつ完成図ができてきた。
先生は隣を歩くだけかと思いきや、あっちこっちに物を取りに行ってくれたり、食材の相談にのってくれている。
ガシッ
「うわっ!!何ですか!?」
もう少しで会計に向かおうかと考えていた私の腕を先生が掴み、そしてその場に立ち止まった。
「そういえば、ケチャップ切れてた気がする。いるよな?」
「…そう、ですね。買わなきゃですね。」
「ちょっと待ってて、取ってくる。」
何か、この会話ってもろ夫婦っぽくないですか。
思えば、買い物中の会話全部が夫婦みたいだったような…。
私は敬語だし、先生からは苗字で呼ばれてるけど、それでもいつも以上に近くにいる感じがする。
今まで先生とこんな風に隣で歩いた事がなかったからかな、ドキドキが止まらないよ。