先生と教官室
そして、車まで連れて行かれると、そのまま後部座席に乗せられた私。
今までこんなに怒っている先生を見たことがなかったから、怖くて何も言えなくなっていた。
先生も何も話そうとしない。
さっきまではあんなに楽しかったのに…。
静かな車内が私の緊張と不安を更に加速させていく。
カサッ
私の横に置かれていたスーパーの袋が、車が止まった衝撃で少しだけ崩れる。
音がするまでその存在にも気づいていなかったけど、何だろうこれ…。
先生に気づかれないように、そっと中身を覗き見る。
すると、そこにはさっき一緒に買っていた食材が入っていた。
先生、返さずに買ってきてくれたんだ…。
てっきり全部返したもんだと思っていた。
……もしかして、先生、そんなにオムライス食べたいのかな。
「…着いたぞ。」
「………はい。」
スーパーの袋から運転席の先生へと視線を変える。
こっちを見ようともしない先生からは、さっきと変わらず怒りの空気を感じる。
正直、今の状況のまま先生の家には行きたくないんだけど…そんなことは決して言えない…。
「行くぞ。」
さっきのスーパーの袋をもち、歩きだす先生。
私はその後ろを必死について行き、二人で部屋の中へと入っていった。