先生と教官室
いつもなら嬉しい先生の家でのデート。
でも、今は恐怖でしかない。
なんか、悪いことして親に怒られる前みたいな緊張感だ…。
「…で、何で走って逃げた?」
「っっ!!!」
冷蔵庫に食材を入れながらド直球な質問をする先生。
「…す、すいません。」
そんな先生に私は謝る事しかできず、顔も見ることが出来ないでいる。
先生、怒ってるのかな…それとも、呆れている?
「伊緒、別に俺は謝って欲しい訳じゃない。理由が聞きたいんだよ。」
そうだけど…そうなんだけど。
「だって…先生悪くないから、これは私自身の問題だから…。」
「じゃあ、何で俺の前から逃げたんだ?自分自身の問題なら俺から逃げないだろ?」
「……………。」
先生の正論に、言葉も出ない。
そうだよ、先生が悪くないって思ってるなら逃げないじゃん…。
「伊緒、何か悩んでるなら話した方がいい。もしそれが伊緒だけの問題でも。」
冷蔵庫の前からソファーに誘導された私は、先生と向かいあうように座った。
さっきまであんなに遠かったのに、先生との距離、すごく近い…。