先生と教官室
「よーし。次、新しいメニューやるぞぉ。」
練習も終盤にさしかかってきた時、先生が大きな声で部員を呼び集合させた。
『新しいメニュー』という言葉を聞いた部員はウキウキしながら先生の近くへと集合した。
でも、ウキウキできたのは最初だけで、先生の説明を聞いていると半端ない難しさに全員が顔をしかめた。
笑い声も笑顔も消えていったことで全員理解できていないことに気づいた先生は、苦笑いしながらボールを手に取った。
「んー、口だけじゃ伝わらないから一回実践してみるか。…えっと、ちょっと手伝って。」
「あ、はい。」
そう言って説明の手伝いに選んだ部員は、私じゃなかった。
「で、こうなるから。ここでお前が走る。」
「はい。」
「あー、ちがうちがう。そうじゃなくてこう。」
「っっ!!!!!」
なんで、なんで私を選んでくれなかったの?
喧嘩して怒ってるから?
先生、私そんなに大人じゃないよ。
そんな部活とか練習だからって切り替えられないよ。
触らないで。
いくらチームメイトでも他の女の人に触って欲しくないって、そう思ってしまうんだよ。
「じゃ、全員解ったな?早速やってみるぞ。」
「「「はいっ」」」
「あ……。」
しまった、先生に気をとられてて説明聞いてなかった。
「やるぞ、二列に並べー。」
仕方がない、とりあえず一番後ろに並んで見てよ…。