先生と教官室




目を閉じると、瞼の中は真っ暗で何も見えなかった。





目を閉じているんだもん、当然か…。





心の中ではそう思いながらも、不思議と目を開けようとは思えなかった。






この光景が、どこか自分の心と重なっているからだろうか。






それとも、何も見えない世界に無意識のうちに安心しているのだろうか。






もしこの真っ暗な光景が私の心と同じなら、私の心ってなんて寂しいんだろう…。






素直になることを恐れ、たった一言を言う勇気もない。






我慢ばかりの世界で、孤独で。






誰からも愛されないんじゃないかって、いつも不安で。






あぁ、私は、いつもこんなことを心の中で考えているんだ……。






だから、素直じゃないって思われるような態度をとってしまうのかもしれない。






…そう思うと、『素直じゃない』と言って怒った先生が正しかったんだね。






ごめんなさい、先生。






私、ちゃんと素直にならなきゃね……。






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