先生と教官室
「伊緒、ごめんな…。」
静まり返っている部屋に、低い声が響く。
確かに聞こえた先生の『ごめん』という言葉が、私の胸を締め付ける。
どうして、先生が私に謝るの?
謝るべきなのは私で、先生じゃないのに。
私が、『いつも素直じゃなくてごめんなさい』って、そう言って謝らなきゃいけないのに…。
ギュッ
「伊緒……。」
私の手を握る先生の手の力が、少しずつ強くなる。
「せ……んせ…。」
そんな先生の声と手の力に答えるように、重い瞼を少しずつ押し上げる。
「うっ…。」
ゆっくりと目を開けてみると、そこには見覚えのある眩しい光があった。