先生と教官室
「伊緒…気がついたか?」
目を覚ました私の顔を、先生がそっと覗きこむ。
とても心配してくれているようで、先生の表情は片眉が下がった困り顔のようだった。
「せんせ…。」
「よかった、気が付いたみたいだな。痛いところは?」
「えっと…大丈夫です。」
「嘘つくな。ちゃんと答えなさい。」
私の嘘を簡単に見破った先生は、少し怒った表情をする。
本当は心配をかけたくないから言いたくないのだけれど、これは言わない方が心配をかけてしまうようだ。
「…えっと、頭と足が少し痛いです。」
「そうか、頭も打ってるか。気持ち悪いとか、何か体調に変化はあるか?」
「いえ、今のところそういうことは全くないですけど…。」
「そっか、なら良かった…。伊緒、少し身体おこそうか。」
「あ、はい…。」
先生に支えられながら身体を起こすと、痛みと共にドキドキが身体をはしる。
身体を起こしてから周囲の状況を確認すると、どうやら私は風邪で倒れた時と同じように教官室のソファーで寝ていたらしい。
てっきり保健室だと思っていたのだが、違ったようだ。
この電灯の眩しさや部屋の匂い、何だか懐かしいな…。
コンコンッ
「はい?」
部屋への懐かしさにボーっとしていると、誰かが教官室の扉をノックした。