先生と教官室





おでこをひっつけたまま、先生が話し始める。





「今朝、伊緒と喧嘩した後に進藤先生に言われたんだ。性格は癖と同じで直りにくい。だから、昨日今日でそんな簡単に性格が変わるものではないってな。」






「え?進藤先生がそう言ったんですか?」






「あぁ、そうだよ。」






あの毒舌、いじわる進藤先生がそんな真面目なことを言うなんて…。





『性格は癖と同じで直りにくい』…か…確かにそうかもしれない。





直したい、でも直らない、それの繰り返しで、結局それはそのままになってしまうんだ…。






「伊緒に素直になれないっていう直すべき部分の性格があるように、俺にだってそういう部分はある。なのに、俺は自分のことを棚に上げて伊緒のことばかり責めていた。それに、お前は今まで何度も俺に気持ちを伝えようと頑張ってくれていたのに、そんなこと無かったかのように『素直じゃない』なんて怒ってしまった。本当にごめん。」






「………先生。」







申し訳なさそうに謝る先生に、胸が締め付けられる。






先生、私が気持ちを伝えようとしていたこと、ちゃんと解ってくれていたんだね…。






「先生だけが悪い訳じゃないんですから、もう謝らないで下さい。私も、先生にもっと素直に色々と話さなきゃいけなかったって思います。私の方こそ、ごめんなさい…。」






先生への想いを、少し伏し目ぎみに視線を下ろしながら伝える。





すると、先生はおでこから顔を離し、私の耳元へと顔を移動させた。





「え?先生?」






「あとな、今回の喧嘩で知れたことがあるんだ。」






え?知れたこと…?













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