先生と教官室





先生の態度や表情を見ると、この状況から逃げ出すことが困難であることは容易に解る。





それに、今更こんなに期待に満ちた先生を裏切ることなんて私には出来ない。





くそう、こんな展開になるなんて思ってもみなかったぜ。





こんなことになるなら、呼び方の練習をしておくんだった!!






「伊緒?」





先生からの催促を受け、小さく息を吸う。






「か…か………。」




「か?」





「か…けや……先生。」





「いや、先生いらないんだけど。」





ええぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――っっ!!!!





勇気を振り絞って言ったのに…まさかの否定されたんですけどっ!!!





「はい、もう一回。」





しかも、また催促されてるんですけどぉっ!!





もう、どうしてくれるんだ。





あまりの恥ずかしさに涙がでてきてしまったわ。





「もう無理ですー…。」





心臓が口からでそうなくらいドキドキしてんですけど。





助けてほしいくて山々なんですけど。





「たかが名前呼ぶだけなんだから無理なんてことはないだろ?ほら深呼吸。」






「う…は、はい。」







< 383 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop