先生と教官室






それから少しの間、先生と私はずっと抱き合いながら話しをしたり笑っていた。






お互いの熱を感じながら過ごすこの空間がたまらなく愛しくて、そして先生への『好き』という気持ちがまた積もっていく。






先生も私と同じように感じているのか、いつの間にかいじわるな様子がなくなり、抱きしめる力も優しいものへと変わっていた。






「伊緒。」





「はい。」






先生に呼ばれて、顔を上げる。






私に向けられた視線に、自分のものが重なる。






どうしたんだろう私…いつもなら凄く緊張して直ぐに視線を外してしまうのに、今は怖いくらいに落ち着いてる……。






「伊緒、愛してる…。」






「……私もです。」






「それじゃ駄目、ちゃんと言葉で言え。」






おぉぉぉ、でたなSプラスいじわる先生。





正直、先生からのいきなりの告白に動揺せずに『私もです』と答えられただけで褒めてほしいくらいなのに…。






「先生。」






「違う。」






「…翔也さん。」






「はい?」






私からの呼びかけに、先生が優しく微笑む。






この微笑みはきっと私だけしか知らない。






他の誰もが知らない私だけの先生なんだ…。







「私も、翔也さんを愛しています。今も、これからも…ずっとずっとです。」













< 387 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop