先生と教官室
だからね、何も先生にしてもらいたいなんて思ってない。
先生がそこまで考えてくれる事は無いんだよ。
「お願い…ですから、家に送ってだけもらえないですか?」
「……なぁ、何で親御さんに連絡しないんだ?」
うっ…さすが先生、痛いところをついてくる。
そりゃそうか、親に連絡しないから先生に怒られたんだもんね。
でも、先生の質問には正解を返すことはできない。
「今日、誰も帰ってこないんです。二人ともたまたま出張が重なっちゃって。」
これは、先生についた大きな嘘。
本当は、2人とも夜中には帰ってくるんだ。
「じゃぁ、今日は一人で家にいるのか?」
「はい。」
「んー…でもそれは何かあった時に心配だしなぁ。」
私が大丈夫って言ってるんだから、それでいいのに。
「―――――っっつ」
やばい、また頭痛くなってきちゃった。
「先生、ほんと…大丈夫ですから。」
私の必死の訴えを聞いて半分納得はしているが、それでも先生は考えこんでしまっているようで、腕をくんで椅子に座りこんでしまった。