先生と教官室
30分程車を走らせると見えてくるマンション。
見慣れたその光景が、もうすぐで家に着く事を俺に知らせる。
「やっと着いたか…。」
伊緒の事もあるせいか、今日はやたらと遠く感じた。
道も混んでいる気がしたし……。
とりあえず、無事に帰ってこれたな。
まぁここからが大変な気もするが。
「伊緒、おい起きろ。家ついたぞ。」
「……………。」
え、起きない感じですか。
そういえば、さっきまでは苦しそうな声が聞こえてたはずなのに、今は何も言ってないな…。
さっきと変化が無い事を祈りながら、そっと伊緒の額に手を置いてみる。
「っっあっつ!!!」
おいおい、おかしいだろ。
さっきとは比べ物にならないぞ。
これは早く冷やさねーと。
そっと伊緒を抱き上げて、顔色をみる。
「もうすぐだかんな。」
そして、誰にも会わない事を願いながら、足早に家へと歩いた。